《GGA優勝者コラム》
ADA入学からGGA優勝までを振り返る
~志村千奈都さんの場合~
こんにちは!ジーズアカデミースタッフの加納です。
2024年11月にTokyo Innovation Baseで開催した、全国合同の『GLOBAL GEEK AUDITION』。
今回は、初出場のADAコースからみごと優勝された志村千奈都さんより、ジーズアカデミーでの学びを振り返ったブログを寄稿いただきました!
ADAコースの空気感、そしてGGAまでの準備などをレポート頂いています。ぜひご覧ください。

志村千奈都さん
Chinatsu Shimura
G’s ACADEMY ADA第1期
上智大学法学部卒業後、スタートアップ数社でマーケティング・データ分析を経験後、2019年にフリーランスとして独立、大手からベンチャーまで多様な業界の企業のDXプロジェクトに参画。2023年にNEMを創業し、幼児向け知育家具ブランド「MINORINO」を立ち上げ、国内外のデザイン賞も受賞する。
みなさまこんにちは。ADAコース第1期生の志村と申します。2024年11月13日に有楽町TiBで開催された「GLOBAL GEEK AUDITION(GGA)」に登壇し、優勝を勝ち取ることができました。
ADAに入学した2月からGGAに登壇した11月までの約9か月半を振り返ってみたいと思います。
ADAコースに飛び込んだのは、既に起業して1年ほどが経過したタイミングでした。
ちょうど自社の家具ブランドの正式ローンチを控え、イベント準備やECサイト構築に追われている時期。
それに3歳児の育児も加わっててんやわんやの中、さらにプログラミング習得を志すというのは、我ながら今振り返っても、「よくやりきったなぁ」と思います。でも、その無謀なチャレンジがいろんな扉を開いてくれたのも事実でした。
起業を見据えた女性たちと集う場
女性起業家養成コースであるADAは、起業直後やこれからスタートを切ろうとする女性たちが集まる新設プログラムです。起業って結構孤独な道ですが、同じ方向を向く仲間がいる環境は、心強いものでした。「自分だけじゃないんだ」と思えた瞬間が何度もありましたし、卒業後の今でもADAの同期と集まるとそう感じます。
起業家養成コースということもあり、卒業後はスピード感を持ってローンチに向けて動いたり、資金調達に取り組んだりする方も少なくなく、入学してから現在までも、一貫して良い刺激を受け続けています。

ADAコース:半年間で基礎と実践をぎゅっと詰め込む
私はメンタリングをプログラミングというよりは、事業計画のブラッシュアップのために活用したいという思いから、佐野健さんにメンターを依頼しました。
「このアイデアはユーザーからお金を払ってもらえるのか?」という問いからはじまり、チームや事業監修についての相談にものっていただいたり、幅広いテーマでビジネス上のアドバイスをいただきました。「これで本当にやっていけるのかな?」という不安や、「ここをもう少し磨けばもっと良くなるのに」というもどかしさも、メンターと対話する中で形になり、事業にもプロダクト開発にも徐々に筋が通っていく感覚がありました。こうしてバタバタの中でも前に進めたのは、自分一人で悶々とするのではなく、常に相談や指摘を受けられる環境があったからこそです。
タイムマネジメントが苦手なタイプではありましたが、週に1回のメンタリングがペースメーカーとしてもちょうどよく、卒制提出までにしっかりプロダクトを作り上げることができました。
卒業制作は幼児教育アプリ

卒業制作では幼児期の発達段階を可視化し、それに合わせて遊びやおもちゃ、絵本を提案するペアレント向け幼児教育支援アプリを作りました。小学校以降と違い、親が参考にできる指針があまりない幼児教育。「これでいいんだろうか?」と手探りになりがちな親をテクノロジーの力でサポートできればと思いました。
プロダクト開発は、PythonとDjangoによって行いました。もともとPythonでデータ分析を行う経験はあったものの、要件定義からDB設計、デザイン、実装まで通して作る経験は初めてでした。一度経験したことで、何かビジネスや日常生活の中で課題を感じたときに、課題解決のためのソフトウェアの実装イメージを持てるようになったことは、振り返っても最も大きな成果だったように思います。技術的な視点が手元に増えた感じです。
卒業、そしてGGAへの道
無事に卒業制作を提出し、8月にADAを卒業した後も、私は2か月間ほどアクセラレータープログラムに参加しながら開発を継続していました。その間、「事業としてどこを強化すべきか」「ユーザーにどう価値を伝えるか」といった課題を抱えながら手探りで進める日々が続きました。
そんな中、10月に待ち受けていたのが「セレクション」です。GGAに登壇するためには、まずこのセレクションを通過し、登壇者として選抜される必要がありました。
セレクションに際し、メンターの佐野さんにより、セレクションに挑むメンティーのためにミートアップ会が開催されました。現役メンティーのセレクションを意識したピッチに対し、OBがフィードバックをしてくれる場です。おかげでピッチ資料やトークスクリプトを徹底的に見直すことができ、セレクションにも通過することができました。
セレクション通過後、GGAに向けても準備の日々は続きます。今回は、これまでと会場が変わり、有楽町にあるスタートアップ支援拠点のTIBでの初開催でした。約44:8という超ワイドモニターに、トークスクリプトなどのメモが見られない登壇ステージ。普段と違う環境で成果を出すために準備を進め、当日は優勝を勝ち取ることができました。最後までメンタリングを継続いただいた佐野さん、壁打ちいただいた方、応援してくださったみなさんには、心から感謝しています。

GGAへの挑戦を通じて、言語化がブラッシュアップ
セレクションのタイミングでは、いまいち自分の言いたいことやプロダクトの詳細が伝わらなかったのですが、セレクションやGGA前に受けたアドバイスに基づいてブラッシュアップを続けているうちに、事業の言語化が洗練されていき、それが結果的に優勝という形に現れたのだと思います。
聞き手は何も知らない前提で
開発者であり発案者である自分は事業内容を熟知していますが、初めて聞く人には全てが新しい情報です。専門用語や業界知識を前提にすると、理解が追いつきません。事業について何か月も考え続けていると、自分と伝えたい相手とのギャップはとても大きいものになります。そこで『聞く側は何も知らない』前提で説明をする必要があります。説明が不足していないか、補足説明が必要ではないか、ほかの表現の方がわかりやすくないか、などの観点で、誰が聞いても明確にわかることを意識しました。
冒頭で聞き手を惹きつける
GGAのようなピッチイベントは多数の登壇者に混ざって自分のピッチを発表する必要があります。冒頭で「自分に関係のある話だ」と思ってもらうために、アテンションのあるストーリー構成を意識しました。
課題を明確にし、ソリューションとしてのプロダクトの機能とリンクさせる
「誰の」「どんな課題を」「どのように解決する(どんなプロダクト)」というストーリーが納得感をもってもらえる形で伝える必要もありました。GGA直前に、これらを見直し、思い切ってデモ画面の再集録・再編集をすることで、多くの方に伝わるピッチとなったのではないかと思います。
これから
GGAが終わってからも、その勢いのままローンチに向けて事業推進を続けています。今後、このサービスをどう展開するかの具体的なプランはまだ検討中ですが、幼児期の親子にとって有用なサービスを提供できるよう、着実に事業を前に進めていきたいと思います。
この約10か月間、正直余裕はなかったし、思えば突貫工事的なやりくりの連続だったかもしれません。でも振り返れば、ADAの仲間、メンター、セレクションやGGAへの挑戦、そして実際に手を動かしてプロダクトを作り上げた経験が全部、自分を前に進めてくれました。今はただただ、やってよかったと感じています。