COLUMN

《コラム》
成功するビジネスパーソンは
「自ら手を動かす」こと
から始める
NewsPicks記事転載

※本記事は2021年7月にNewsPicksにて掲載された記事になります


VUCAの時代を生き抜くため、各社で「新規事業開発」が叫ばれている。 そして、新たな一手を打つべきは企業だけではない。私たちビジネスパーソンも、生き残りを懸けた進化が求められているのだ。  そこで注目を集めるのが、異色のプログラミングスクール「G’s ACADEMY(ジーズアカデミー)」。
ここでは、事業創出を前提として、サービス開発の知識はもちろん、ビジネスモデルの考え方やピッチでのプレゼン術などを徹底レクチャー。いわば「事業家養成スクール」であり、いわゆるプログラミングスクールとは一線を画す。
 では、なぜプログラミングが企業や個人の進化に有効なのか。事業立ち上げの極意とは。1400以上のアイデアをプロダクト化へと導いたG’s ACADEMYとともに考える。


DCAP

「アイデアだけ」では戦えない


  VUCAと呼ばれる不確実な時代を迎え、各社で「新規事業ブーム」が巻き起こっている。新規事業コンテストや、イノベーション創出を目的とした協業に取り組む企業も多い。


その盛り上がりを肌で感じ、来る日のために事業アイデアを温めているビジネスパーソンも少なくないのではないだろか。


しかし、事業家・エンジニアの養成スクール「G’s ACADEMY(以下、G’s)」ファウンダーの児玉浩康氏は、「事業創出にアイデアは必要ですが、それに時間をかけるのはあまり意味がありません」と話す。


児玉さん

「事業創出で重要なのは、『DCAP(Do-Check- Action-Plan)』を回すこと。


一般的なセオリーは『PDCA』ですが、私たちは『Plan』を描く前に、まずはアイデアを具現化したプロトタイプを作る=『Do』を推奨しています。その上で、仮説を検証し、ブラッシュアップしていくのです。


当たり前のことですが、アイデアを形にしなければ『事業』にはなりません。そして、Planだけでは『絵に描いた餅』になることも大いにありえますから」(児玉氏)


DCAP


 プロトタイプ、つまりはラフなものでいいから、まずは形にしてみる。


プロダクトさえあれば、現状に足りていない要素が見えてくるし、社内で話を進める際の強い説得材料にもなる。


G’sは、設立6年で1400以上のアイデアをプロダクト化へと導き、50名以上のテック起業家やイントレプレナーを世に送り出してきた。


その実績の源こそ「DCAP」であり、「Do」の手段となるのがプログラミングなのだ。


他人は「自分の理想のラーメン」を作ってくれない


しかし、プロトタイピングの必要性については同意しても、プログラミングの必要性については懐疑的な人もいるだろう。


 わざわざ自分でプログラミングを書かなくても外注でエンジニアに頼むといった手段も考えられるからだ。


 これに対しても、児玉氏は明快な答えを持っている。


「単純な話なのですが、あなたが『理想の味のラーメン屋を開こう』と思っているなら、すべて他人任せでお金を払って始めても、理想の味に近づけるのは難しいでしょう。それに、やっていても楽しくないですよね。


まずは素人ながらにでも、試行錯誤して自分で理想の一杯を作ることから始めるべきです。


同じように、実現したい世界観があって『テクノロジー商品』としてWebサービスやアプリを世に出すなら、まず自分の手を動かしてプロトタイプを作り上げたほうがいい。


そこで、初めて世界観が明確になり、エンジニアにもビジョンや熱量を共有できます。これは開発を外注する場合でも同じです」(児玉氏)


iStock:SARINYAPINNGAM


この「自ら手を動かす」という考えは、海外では一般的なものだという。


G’s卒業生で、東京藝術大学で教鞭を執る音楽家の余田有希子さんは、研究員として派遣されたアメリカの大学でそれを目の当たりにした。


「私がいた研究室では、同じ音楽分野の専門家たちがAIを使って音楽を作ったり、自らコードを書いて楽曲構造を分析したりしていました。


その研究室が特殊だったわけではなく、大学ではどんな分野の専門家でも当たり前のようにコードを書き、アイデアを形にしていた。


驚くとともに、強い危機感を覚えましたね」(余田さん)


余田さん

 余田さんは帰国後、「自分もプログラミングを学ばなくては」とG’sの門を叩いた。


数あるプログラミングスクールからG’sを選んだのは、「手を動かす」ことを重視したプログラムに引かれたからだ。


「以前、淡々とテキストをこなすだけの英語学習をして、全然身にならなかった苦い経験があるんですよ(苦笑)。


プログラミングも『お勉強』として取り組んだら同じことになるだろうな、と。


G’sでは、テクノロジーと音楽をかけ合わせたプロダクトを開発しました。


一連のカリキュラムを通して、プログラミングは自身の体験や専門性と組み合わせた時に、強力な武器になるんだと実感しましたね」(余田さん)


そのサービスに「Why me?」はあるか


長崎県西海市のベンチャー企業を経営する宮里賢史さんも、自らのアイデアを形にするためにG’sの門を叩いた一人だ。


もともとは自治体や地元企業のWeb制作などを受託していたが、新たな事業の柱を打ち立てたいと考え、受講を決めたという。


そんな宮里さんがG’sで作った卒業制作「文字起こしばりぐっどくん」は、今や地元の人を中心に約20万人が利用するサービスになっている。


「『ばりぐっどくん』のアイデアは、仕事で接する市役所の人々が事務作業に追われている様子を見て思いつきました。


これほどスケールするとは、正直自分でも驚きです。


リリース時に使っていた技術自体は初歩的なものですが、目の前の人たちが喜んでくれるのは嬉しかったですね」(宮里さん)


ばりぐっとくん
宮里さんが開発する「文字起こしばりぐっどくん」は、文字の書かれた画像をLINEで送ると、AIがたった数秒で文字起こしをしてくれる。翻訳機能なども備えており、今年1月にはラスベガスで行われる世界最大テクノロジー見本市「CES」にも出展された。


G’sの卒業要件は、「プロダクトを作り上げること」。受講生は、初期に学ぶプログラミングの基礎技術を用いて、おのおののアイデアを形にしていく。


卒業後、プロダクトの開発を続けるかは個人に委ねられているが、宮里さんは自社サービスとしてリリースを決断。


3年ほどたつ現在まで、改良を加えながら運営を続けている。


「何が自分の『コア』なのかを見定めた上でプロダクトを開発する。


これがG’sの基本で、『Why me?』を考え抜いて生まれたのが『ばりぐっどくん』でした。


今もこうして開発を続けているのは、テクノロジーを使って地方課題を解決したいという思いが、本物だった証拠でしょう」(宮里さん)


宮里さん

「Always Ask “Why me?”」は、G’sが掲げるクレドの一つだ。直訳すると「なぜ私が」となる。


「Why me?」を考え抜くことは、「アイデアを温めるより、まず作れ」という発言と矛盾するようだが、児玉氏は次のように説明する。


「事業を立ち上げる際に重要なのは、『なぜ私がこのサービスを作るのか(=Why me?)』を繰り返し自問し、手を動かしながら(=Do)、提供価値をシャープにしていくプロセスです。


これは、思いつきのアイデアを『スケールするかどうか』という視点で考えること(=Plan)とは全く違います。


『Why me?』がない事業は、推進する人の熱量がこもらないし、得てして事業のスタートラインにもたどり着けません」(児玉氏)


児玉さん

 新規事業が軌道に乗らない原因も、大部分は「Why me?」の詰めの甘さにある。


「新たな事業を企画する時は、ついつい『どうやったら会社(株主)を納得させられるか』、つまりは『もうかるのか』に目がいってしまうもの。


ですがどんなサービスもはじめは、立ち上げた人の夢や熱い想いが起点になっているはずです。


絶えず『Why me?』を考え抜くことは、『顧客への提供価値』をクリアにするという意味で、実は合理的な方法なんです」(児玉氏)


「切磋琢磨」がプロダクトを強くする


頭と手をフルに動かしながらビジネスを生み出す過程は、決して楽なものではない。


平日の夜や土日のほとんどを技術の習得・プロダクト開発に費やすG’s受講生も多い。


メルカリで働く三木翼さんは、会社とG’sの両立というハードな6カ月間を乗り越え、今年2月に晴れて卒業を迎えた。


「半端な気持ちでは両立はできなかったと思います。受講生の『コミュニティ』の存在も、モチベーションを保てた理由の一つですね」(三木さん)


三木さん

 G’sでは、受講生同士で教え合う「Peer to Peerラーニング」を導入しているほか、卒業制作期には互いにフィードバックし合い、プロダクトを磨き込んでいくカルチャーもある。


東京・福岡にあるG’sの校舎は24時間開放されているため、コロナ以前は寝食をともにすることも珍しくなかった。


単なる「受講生同士」の関係を超えた、「同志」のような結びつきが自然に生まれるのだ。


「卒業した今も、G’sの卒業生と定期的にコミュニケーションをとっていますし、週末にはG’sの校舎で新たなサービス開発の話をすることも。


本気でプロダクトに向き合い、モチベートし合える仲間ができたのは一生の財産です」(三木さん)


プログラミングは一生使える「武器」になる


このようにして学んだプログラミングには、ビジネス創出を目指す人にとって、「サービスを作れる」以上のメリットがある。


プログラミングの思考技術は、サービスを事業として発展させる時にも有効なのだ。


「プログラミングでは、ある目的を設定し、そこに至るまでの過程を細かく分解しながら、うまくいくまで試行錯誤を繰り返します。


テクノロジードリブンな事業も同じく、まずはサービスの過程を細かく分解して、KPIを設定する。その上で、いくつかの戦略を想定しながら試行錯誤を重ねていきます。


つまり、エンジニアの思考回路や文化を知ることは、事業創出の能力にも直結するのです」(児玉氏) 


プログラミングの思考技術を身につける過程で、事業創出能力が磨かれる。だからこそ、G’s から多くの起業家が生まれるのだ。


思考技術

 はじめは全くコードが分からなかった人でも、一つひとつ技術を学んでいくうちにコツがつかめていくという。


プログラミングは、事業創出の強力な武器になる。それどころか、ビジネスに携わる人すべての武器になるといって間違いなさそうだ。


「コロナによるDXの加速もあり、ビジネスシーンにおけるテクノロジーの重要性はますます高まっています。これをチャンスと捉え、新しい価値を生み出せる人をもっと増やしていきたい。


『Why me?』を起点に、テクノロジーでセカイを変えるGEEKを育てる。それが、私たちのミッションです」(児玉氏)


制作:NewsPicksBrandDesign 編集:高橋智香、大高志帆 撮影:露木聡子 デザイン:Seisakujo

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