COLUMN

《コラム》
福岡での働き方は変わるのか?
「スタートアップ企業で働く」
という選択肢。

スタートアップ支援を重視している福岡市。インキュベーション施設FGNや創業支援制度は拡充しているのは全国的に知られているが、その中で実際にスタートアップで働く人や、働く環境、周囲の理解はどうなのだろうか?まだまだ知られていない福岡のスタートアップの実態をジーズ卒業生達にインタビューし、福岡で新しい働き方を選んだ理由をお聞きするシリーズ。その第1段は現在急成長中、福岡の代表的なスタートアップ「株式会社クアンド」。クアンドで働くジーズアカデミー福岡卒業生3名と、クアンド代表取締役社長の下岡さんにジーズアカデミーFounderの児玉がお話を聞いてきた。


福岡の代表的なスタートアップ「株式会社クアンド」

株式会社クアンドは、2017 年に設⽴した福岡のスタートアップ企業で「地⽅産業・レガシー産業のアップ デート」をミッションとして掲げ、九州地域を中⼼にDX事業を展開しています。現在は「時間・空間・言語の壁を越えて、日本の現場に眠る「知」を繋ぎ、世界の「価値」へ」を目指すSynQ(シンク)という自社ププロダクトを開発中。20年11月にはその第一弾となる現場の遠隔支援ツールSynQRemote(シンクリモート)をリリースいたしました。


もっとコードを書きたくて選んだクアンド


児玉:今日はお忙しい中ありがとうございます。一つの会社に3人もジーズメンバー(しかも同級生)がいるのは嬉しいね。(笑)では、まずは皆さんの今の仕事内容から教えて下さい。


プロジェクトマネージャー兼エンジニア G’s福岡DEV2期卒 田中さん(左)
SynQ事業部長 兼 プロダクトマネージャー G’s福岡DEV2期卒 梅田さん(右)
プロジェクトマネージャー兼エンジニア G’s福岡DEV2期卒 田中さん(左)
SynQ事業部長 兼 プロダクトマネージャー G’s福岡DEV2期卒 梅田さん(右)

田中さん:現場仕事向け遠隔支援コミュニケーションツール『SynQ Remote』のプロジェクトマネージャーやっています。


課題と機能要件を整理してリードエンジニアと技術選定をし、実際の開発までやっています。それと並行して、Ruby on RailsとAIを組み込んだアンチマネーロンダリングシステムの新規開発もやらせてもらってます。


児玉:田中君はどういう経緯でエンジニアになったの?


田中さん:元々は新卒で日立系の中堅SIerに入社し、4年半ほど勤務していました。社会インフラ系企業の大きなシステムの設計・要件定義・進行管理・テストなど、ウォーターフォール設計のほぼすべてをやっていました。


児玉:SIで活躍していたんだね。


田中さん:はい、さらに社内の新規事業にもチャレンジしたいと思ったのがG’sに来た理由です。転職しようとは思ってませんでした。G’s卒業後は希望部署にも異動になり、G’sで学んだことがすぐに活かせたので前の会社に不満はなかったですね。


プロジェクトマネージャー兼エンジニア G’s福岡DEV2期卒 田中さん

児玉:なのに、なんで辞めてクアンドに来たの?


田中さん:コロナでクライアントの事情が変わり、新規開発の仕事が急になくなってきたんです。自分のスキルはまだまだ足りてないと思っているので、もっともっと開発したかったんですよね。機能だけでなくインフラなどもすべて。


G’s卒業時のGGA(卒業プロダクト発表会:グローバルギークオーディション)でクアンドの方に会って声をかけられました。クラウドやAIなど先端技術を使っているところは福岡では他になかったし、先に入社していたジーズ同級生の梅ちゃん(梅田さん)・ウノちゃん(上野さん)の2人から社内の様子を聞いていたので心理的障壁が少なかったのもありますね。


Whyを大切にするのがスタートアップ


Whyを大切にするのがスタートアップ1

児玉:田中君をクアンドに誘った梅田さんはどう?


梅田さん:私は新卒の時は東京のワークスアプリケーションズで営業とカスタマーサクセスをしていましたが、実家が福岡なのでUターンして、最初は人材紹介のビズリーチの福岡支社に入りました。


児玉:大手から大手だね。順調なUターンに見えるけど。


梅田さん:ビズリーチはとてもいい会社だったのですけど、私とってはあんまり楽しめなかったんですよね(笑) 福岡では新規開発より東京本社でメソッド化されたものを展開する方に比重があるように感じて…


その頃G’sに通って、めちゃくちゃ充実した半年だったので、落差を強く感じて、G’s在学中に辞めました。卒業後は過去のご縁もあって人事系のフリーランスとしてすぐに仕事できました。


児玉:G’s卒業してすぐフリーランスとして軌道にのったんだね。


Whyを大切にするのがスタートアップ2

梅田さん:はい、最初は自由な働き方ができてうれしかったですが、フリーランスというのはやはり社外の人なので方針などには口は出せなくて「How to」だけを求められるんですよね。


収入は会社員時代より増えましたけど「なんのために」がない中で、過去の経験を繰り返す感じになってしまいました。


私は新卒で入ったワークスアプリケーションズの体験で「働くこと=楽しいこと」になっている人なんですけど、福岡では「時間の対価としての仕事」というとらえ方の企業や人が多い印象でした。もう福岡には魅力的な仕事がないのかな~、もう一回東京もどろうかな~とも思ってましたね。


児玉:なのにどうしてクアンドに来たの?


梅田さん:クアンドも最初はフリーランスとしてかかわったんです。でも他の会社と違ったのは「なぜやるのか?」に時間使っていたことですね。G’sでも卒業制作の中でWhy meの大事さをとても感じていたので、その点がすごく共感できました。


児玉:なるほど。


ユーザーの課題解決手段として技術を選択することの大切さ


ユーザーの課題解決手段として技術を選択することの大切さ

西南学院大学4年生・クアンドでエンジニア(インターン)G’s福岡DEV2期卒 上野さん。来年春には東京のWebサービス企業にエンジニアとして内定が決まっている。


上野さん:私はインターンですけど、コードを書くだけでなく、どういう現場でどう使われているのかに興味があったんです。クアンドではエンジニアも客先にいくので、視野を広げることになりそうだな、と思ったことが決め手でした。


田中さん:そうですね、現場に行ってユーザーの声を聴くと、デジタル化に必ずしも最新技術は必要ないということがわかる。


上野さん:とりあえず先端技術突っ込もう!というというのは私もあまり共感できなくて、やっぱり課題あってのツールですよね。今私はSynQのデスクトップアプリのパッケージ(マルチデバイス対応)を創ってますが、これもユーザーの特性に合わせて開発しています。


梅田さん:クアンドの想いに共感する、ということで選んでくれているお客さんも多いので、技術選択もそういったお客さんに向けてなにを創るかによって柔軟に変えるべきだと思っています。


田中さん:チームとして一つの目標に向かって仕事をすると、しがらみや調整が少なくなるのもいい所かと。


働く場所としての福岡に感じる課題


働く場所としての福岡に感じる課題

上野さん:私は新卒なので東京と福岡の両方で就活をしてみたんですが、福岡では「うちは大手の子会社だから潰れないから安心できるよ!」とか、「与えられたことがきちんとできればOKだよ!」というのを売りにしている企業が多かったですね。(笑)


田中さん:そうですね、福岡だと仕事は「与えられたことをこなす」という考え方の人は多いかもしれないですね。だから新しい技術に対応できる人が少ないのは悩みですね。


児玉:技術向上のための勉強会やエンジニアコミュニティももっと活性化していきたいね。


田中さん:そうですね。コロナで集まる機会は減ったけど、G’sの卒業生エンジニアたちが軸になって、福岡のエンジニアコミュニティを盛り上げていきたいですね。
ゆっくりでも、少しづつ変えていくということでいいと思うんです。だから現状を嘆くより着実な改善が大事で、みんなで考えていければいいなと思います。


梅田さん:そうそう、私も身近なこと・ジャブを打つことが大事かなと思ってます。クアンドは「自分達で創り上げていくという働き方」が福岡でも選択できる、ということを示していきたいですね。昔は仕事をとるか住むことをとるか、みたいな感じだったけど、私たちは両方とりたいと思ってますね。





福岡でスタートアップするメリット・デメリット


福岡でスタートアップするメリット・デメリット
株式会社クアンド 代表取締役社長 下岡さん
P&G、博報堂コンサルティングを経て、2017年「地⽅産業・レガシー産業のアップ デート」をミッションとして掲げ、株式会社クアンドを創業

児玉:福岡のスタートアップシーンのいい所と、これからの課題についてお聞きできますか?


下岡さん:そうですね、東京と比較してスタートアップが少ないので、目立ちやすさはありますね。狭いので、産官学含めスタートアップ界隈はみんなすぐ知り合いになります。(笑)
東京だとなかなか繋がれない規模の大企業の社長レベルでも、福岡であれば気軽に話せるといったいい所はありますね。


でも、新しいものにチャレンジしてみようという気質は、正直言って東京の方があると思いますね。オープンイノベーションとかで新しいプロダクトをつないでも、自分で現場に浸透させて磨いていこうという担当の方は少ない。


ボトムアップが弱いなあと思います。でもだいたいの福岡の中小企業の社長はそんな悩みを持っているような感じですね。


児玉:なるほど。さっきもそんな話になりましたが、「与えられたことをこなす」という感覚の方が多いのかもしれませんね。


福岡を成長させていける人材像とは


福岡を成長させていける人材像とは

下岡さん:それは採用でも出てますね。経験のあるエンジニアや実績あるビジネス人材が採用できればそりゃあ嬉しいですが、実際は仮に福岡に住んでいたとしても、すでにどこかの企業で重責を担っている人が多いので、そもそも採用は難しい。
なので現実的には「経験が浅い代わりにポテンシャルの高い人」を採るしかない。ポテンシャルの高さとは「ボトムアップで自分で提案してやり抜く強い意志のある人」です。そうでなくてはスタートアップではやっていけない。そういう人を探していますがこちらも福岡で探すのはなかなか苦戦します。


児玉:G’sが福岡のスタートアップシーンでやるべきことはどんな部分ですか?


下岡さん:G’s卒の人はエンジニアもビジネスサイドでも「何のためにこれを作るのか?」「なぜこれをやるのか?」ということに思いの強い人が多いですね。
一般的にエンジニアは技術だけが楽しい、という人が多い中で、お客様に対するバリューを考えられている人が多いのはG’s卒の特徴だと思います。


これまでは、経営者としてエンジニア向けに言葉を変換しないといけなかった。
ですが、エンジニアサイドに経営視点・顧客視点があると、このコミュニケーションコストがかからなくなっていて、スタートアップとしてはとてもありがたいですね。


児玉:なるほど、ではこれからもどんどんジーズ卒業生を採用してください!(笑) 今日はありがとうございました!


福岡を成長させていける人材像とは2

あとがき


現在の福岡を代表するスタートアップ「クアンド」。その中核で活躍をするジーズアカデミー福岡の卒業生3名に話を聞いて感じたのは福岡ではスタートアップやWebサービス企業が活躍できる土壌は、まだまだ出来上がっているわけではないということ。


ですが、だからこそ未整備のこの土地でスタートアップを選ぶ人は、将来の福岡のスタートアップカルチャーをけん引していく人になっていくなのかもしれないな、と感じます。実際、会社の成長とともに3人が大きく成長していることを感じ、嬉しく思いました。これからもクアンドの成長を応援します。


ジーズアカデミー Founder 児玉浩康

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