COLUMN

《コラム》
Skyland Ventures 木下慶彦氏
インタビュー
VCから資金調達する
メリット・デメリットとは?
【前編】


起業する人が増えればたくさんのアイデアがカタチになり、世界が豊かになっていく。
そんな夢のある起業家たちが一人でも多く世の中に出て、成功していくことを支える仕事をしている人がいます。
ベンチャー企業に投資を行うべく、資金を集めファンドの運営責任を担い、有望な投資対象を選別。そして投資後には、パートナーとして惜しみない協力を行うことで会社の価値を最大化させる「ベンチャーキャピタリスト(VC)」という仕事です。
起業家の中には、事業を加速させるために彼らから資金を調達することを目標にしている人も多いのではないでしょうか?
今回は、インターネットサービスを提供するシード・アーリー期のスタートアップへ投資を行う『Skyland Ventures』の代表 木下慶彦さんに、ベンチャーキャピタリストの立場から「起業家がVCから資金調達をするメリット・デメリット」について聞きました。

Yoshihiko Kinoshita

木下 慶彦さん

Yoshihiko Kinoshita

1985年生まれ。早稲田大学理工学部卒業後、インキュベイトファンドなど2社のベンチャーキャピタルを経て、2012年8月(当時26歳)にSkyland Venturesを創業し代表パートナーへ就任。投資先はトランスリミット(BrainWars)、八面六臂、カウモ、ラフテック(CuRAZY)などがある。2015年からはグローバルスタートアップイベント #SVFT、渋谷のコワーキングスペース #HiveShibuya などをスタートしグローバルスタートアップエコシステムの構築を強化している。

■ ベンチャーキャピタリスト −−人と人のアツい関係をつくる仕事

木下さん:
ベンチャーキャピタルという仕事を知ったのは大学時代です。DeNAに投資していた日本テクノロジーベンチャーパートナーズの村口さんという方がいて、その人と学生時代に出会ったことがキッカケでした。

彼はVC養成講座という学生向けの企画をやっていました。今も「文化祭を通じて起業体験する」起業体験プログラムを高校生向けに提供しています。

そのプログラムは秀逸で、例えば文化祭で やきそば のお店をやるとします。そのときに、「やきそば屋」っていう会社をつくって機材などに必要なお金を自分たちで集めるんです。

100万円必要だったときに、メンバーのみんなが1万円づつ出し合って30人いれば30万円。そして足りない分を投資家(先生や親、外部の人間などの資金提供者)に募る。そういった「みんなが株主になって収益が出たら分配する」という機会をつくっているんです。

これに参加して村口さんと出会ったことが、僕がベンチャーの世界を知ったキッカケですね。

村口さんやVCの仕事に興味を持った理由は、村口さんとDeNAの南場さんの2人の存在を見ていたことにあります。南場さんは、僕が学生の頃からずっと、そして2015年3月にイベントにお招きしたときも変わらず、「村口さんが自分の辛い時期を支えてくれた」っていつも言っているんですよ。こういう関係性を見て素晴らしいと思いました。

かれこれ7,8年くらいになるけれど、一貫して南場さんはそう言い続けています。

そんな人と人(起業家と投資家)のアツい関係性をつくっていける仕事に就きたいなと思い、ベンチャーキャピタルを目指しました。

G’s ACADEMY

現在 Skyland Ventures が投資している会社は17社ほど。そのうちの10社程が渋谷にあるといいます。20〜25歳の世代で起業している人が多く、『カウモ』という人とモノをマッチングするキュレーションメディアを展開するKAUMO株式会社の代表の方は、なんと22歳なんだとか。
最近は #hiveShibuya(Skyland Ventures のオフィスがあるコワーキングスペース)に起業家たちを集め、今後の戦略やサービスのインサイトを探る朝会も開いているそうで、若い世代の起業家がお互いのサービスの未来について話し合い、支え合っていくアツい関係性が早くもできてきているそうです。

■ 資金調達するメリット・デメリットとは?

メリットは大きく2つ。金銭面だけでなく、会社経営全般のナレッジ面でもメリットがあると木下さんは言います。

1つは、やっぱり「お金ない」ですよね、普通。サラリーマンをやっていても、お金は貯まらないですから。人と一緒に仕事するにはお金がかかるので、起業する人は特にお金が必要だと思います。

とりわけ「人」にかかるお金。
インターネットのサービスであれば、昔の製造業と違って入り口のコストは下がっている。ただ、「人」が動くとお金がかかります。普通はお金があった方が人も集まりやすいし、結果的にサービスのクオリティにも反映されているんじゃないかと思いますね。

事例を見ても、ベンチャーキャピタルやエンジェル投資家と言われる人たちから投資を受けた企業は、世界的にも成功例がすごく多いんですよね。たとえば、Facebook、Twitter、Google。全部VCから資金を集めています。

2つ目は、経営ナレッジの面。

起業家は普通、人を採用するのもサービスをローンチするのも全て初めてのことだらけです。そんなときに、VCには過去の経験からノウハウが積み上がっているので、それを共有できるのはとても大きなメリットだと思います。

例えば、僕はTwitterを使って人を雇ったりマッチングしたりすることが多いんですが、それが起業したばかりの人だと、発信力も繋がりもほぼ無い状態でスタートしますよね。そこでサポートできることが生まれるわけです。

会社の経営面からさまざまなサポートを得られることは、VCと関わる大きな理由になるのではないでしょうか。

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逆に「デメリット」も2つあると思いますね。1つは、お金があると”使っちゃう”っていうこと。もし財布にたくさんのお金があったら、使いません? 週末のアグレッシブさ、変わりますよね?(笑)

最初は特に、相当なビジネス経験値がないとそうなるケースが多いです。1,000万ユーザーのサービスを立ち上げた経験がある人や、一人で数億円の売上を立てていた営業経験者ですら、自分の会社として経営をするとお金を使ってしまいがちなものなんですよ。特にお金があれば使いやすさが変わってしまう。

2つ目は、本当に信頼できるメンバーでないと、”お別れできない彼女”のような存在になってしまうことです。
起業時の投資家って創業メンバーに近いケースが多いので、人によっては毎週・毎日会うことになります。そのときに、お互い本気で腹をくくって話せるかなどの相性は大切です。僕自身、以前に支援した会社で仕事を一緒にしてきたメンバーへの投資が多くなっていますね。

ただの社員であれば、ある意味辞めればいいっていう選択肢もあると思いますが、起業家の場合そうはいきませんからね。なので、最初に目線感を合わせておくことはとても重要です。

「目線感を合わせる」とは?

よくあるパターンとしては、小人数のスリムな会社を経営したいのか、どんどん大きくして100人1000人の社員を抱える会社をつくりたいのか、という認識の違いですね。

「大きい会社つくろう!」と始めていても、当初より目指す規模感が違ってくることもあり得ます。株はVCも預かることになるので、ちゃんとそのあたりの認識を事前に合わせておくことが重要ですね。

■ ここまでのまとめ
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/p>△インタビューの場は、たくさんの起業家が集まる #Hive Shibuya にて

ここまでをまとめると、インターネットのサービスで起業するときにVCから資金調達を受けるメリット・デメリットは、次のようになります。

《資金調達のメリット》
① 「人」にかかる金銭面の充実。ひいてはプロダクトのクオリティアップにも繋がるはず。
② ビジネス面で、プロの豊富なナレッジ・ノウハウを共有してもらえる。

《資金調達のデメリット》
A. 「お金があると使っちゃう」という危険性がある
B. 投資家との目線感の違いが生まれたときの関係性のズレ

『Skyland Ventures』木下氏へのインタビュー。後編は、「実際に起業に向けて動き出した際に起業家がやるべきこと」についてお話を伺います。9/3(木)公開予定です。お楽しみに。

ライター:中岡 晃也

編集:LIGMO

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