INTERVIEW

福岡での新しい働き方
起業の挫折が
エンジニアという天職に
つながった話

福岡での新しい働き方<BR>起業の挫折が<BR>エンジニアという天職に<BR>つながった話

福岡での新しい働き方
起業の挫折がエンジニアという天職につながった話

スタートアップ支援を重視している福岡市。インキュベーション施設FGNや創業支援制度は拡充しているのは全国的に知られているが、その中で実際にスタートアップで働く人や、働く環境、周囲の理解はどうなのだろうか?
まだまだ知られていない福岡のスタートアップの実態をジーズ卒業生達にインタビューし、福岡で新しい働き方を選んだ理由をお聞きするシリーズ。
今回は、福岡でも先端的なスタートアップとして知られる「株式会社tsumug」。tsumugでエンジニアとして働くジーズアカデミー福岡卒業生永田さんにジーズアカデミーFounderの児玉が話を聞いてきた。

永田悠飛さん 埋め込み wordpress

永田 悠飛さん

Nagara Yuuhi

株式会社tsumug ソフトウェアエンジニア兼スクラムマスター(2021年1月現在)G’s ACADEMY FUKUOKA LAB1期卒(2019年10月卒)

tsumug(ツムグ)は、「それぞれの心地よい居場所で世界を埋め尽くす」をvisionに掲げ、空間サービス「TiNK(ティンク)」を提供している。
LINEで「友だち登録」していただくだけで、施設の検索、予約、鍵の解錠・施錠、決済の全てが可能。現在、集中して作業ができる机の時間貸しを行う「TiNK Desk」と、空間全体を1企業やプロジェクトメンバーと専有して使える法人向け「TiNK Office」を展開している。リモートワークなど多様化する企業の働き方に対応する新しいオフィスの形として利用され、サービス/事業を広げている。

100万円の昇給を蹴って大手アパレルの店長を退職

G’s ACADEMY Founder 児玉

今日はありがとうございます。永田君はアパレル店長からエンジニアになったというユニークな経歴ですね。

永田さん

そうですね。本当は20歳ごろはファッションデザイナーを目指していたんです。生まれは熊本県の阿蘇の山奥なんですが、高校の時に熊本市内に出て、ファッションに憧れができて福岡の服飾の専門学校に通いました。

G’s ACADEMY Founder 児玉

両親とかもその辺は理解があったんだ。


永田さん

全然反対とかなかったですね。自分のやりたいことをやれと。

G’s ACADEMY Founder 児玉

いいご両親だ(笑)


永田さん

専門学校にいるときに大手アパレルメーカーに内定もらったので新卒で入社しました。でもデザインの部門には行けず、その企業が持つ高級スーツのブランドのショップ店員として社会人をスタートしました。

G’s ACADEMY Founder 児玉

でも販売も上手そうだよね。


永田さん

高級スーツだったので一人ひとりのお客さんと接するのは好きでした。どんな場面で使うんですか?とか聞いて、考えながら提案するのは楽しかったですね。それで3年で店長になりました。

G’s ACADEMY Founder 児玉

なのにどうして辞めちゃったの?


永田さん

やっぱり商品企画職がしたかったので、何度も異動を願い出ました。でも聞き入れてもらえず、私が退職をほのめかしたら、慰留策として急に年収100万アップを提示されて。給与が安かったのはアパレルあるあるなので(笑)そんなには気にしてなかったのですが、そういう上司の匙加減で変わってしまう会社がなんか信用できなくなったんですよね。

G’s ACADEMY Founder 児玉

100万円を蹴ってやめたわけだ(笑)


永田さん

はい、そうとも言えますね(笑)。その後は、小さなアパレルに移りました。こちらでは念願の商品開発になって、商品を創ったり、量販店へ売りにいったり。

G’s ACADEMY Founder 児玉

当初の目標だったファッションデザインの道ですね。


永田さん

はい、でも創るけど安くたくさん創るというメーカーだったので、商品には思いが込められなかったんです。買ってくれるお店も、もの作りに対する想いとかそういうのよりも安さばかり求めてくるので、自分が作っているものに価値を感じることができなかったし、それを売り込みに行くのも辛かったですね。

G’s ACADEMY Founder 児玉

なるほど


永田さん

転職当時はとにかく企画がしたいの一心でそこまで考えることはできなかった。やりたいことのために転職したつもりが、実際はスーツブランドの店員としてお客さんの人生に関わる大切な一着を提案している時の方がやりがいと幸福度が大きかったですね。

G’s ACADEMY Founder 児玉

そうだったんだ


永田さん

それで、自分的にはすごく葛藤があり、ちょっと病んでしまうほど落ち込んでしまったんです。

自分のような悩みを持つ人を助ける事業したいと思い立った

G’s ACADEMY Founder 児玉

それで2社目のアパレルも退職したわけですね。そんな状況でどうして起業をしようなんて思ったの?


永田さん

自分と同じような、何をしたいのかわからない人を助けたいという想いが強くなっていました。でもそれだけで、本当は漠然としていましたね。その頃は悩みを持つ人達をつなぐSNSみたいなことを考えてました。そんな状態でFGNにある「スタートアップカフェ」の創業相談窓口で相談したんです。

G’s ACADEMY Founder 児玉

うんうん


永田さん

最初は、ビジネスプラン考えて誰かにお金を出してもらって、それでエンジニアとかに発注すればSNSは創れるのかな?ぐらいに考えてました。
そしたら、スタートアップカフェの人に「まずは自分でモックアップを創った方がいいよ」と言われ、ジーズアカデミーを紹介された。

G’s ACADEMY Founder 児玉

へぇ、スタカフェでG’sを紹介してくれたの?そりゃありがたい(笑)


永田さん

それですぐに学校説明会に参加して、すぐ出願・入試を受けましたね。G’sに来てからは、もうご存知の通り毎日毎日、朝から晩まで、G’sが休みの日もコード書いて、、

G’s ACADEMY Founder 児玉

めちゃくちゃ勉強してたよね。


永田さん

はい、そしたらそのうちコードを書いて動くのがめちゃくちゃ楽しくなってきまして(笑)

G’s ACADEMY Founder 児玉

毎回の発表会もいつもトップレベルだったもんね。

自分の事業を客観的に見て、自分の立ち位置を修正

G’s ACADEMY Founder 児玉

ところが卒業制作では同級生吉本さん(DEV3期卒起業家)の起業チームにエンジニアとしてジョインした。


永田さん

当初は自分で起業しようと思ってG’sに来たのは本当です。ですがだんだん、「共感する人がやるモノづくり」を支えたい、助けたい。という気持ちが強くなりました。吉本さんは事業に対して人一倍思いのある方だったし、尊敬できた。そういう人に出会えたことが転機になりましたね

永田さんが登壇したGGA(GLOBAL GEEK AUDITION)の模様。@Grand Mirage 2019年10月30日
DEVコースの方とチームを組んで起業を目的に登壇した。

G’s ACADEMY Founder 児玉

自分がCEOとしてやる起業、っていう形をよく断ち切れたね。


永田さん

G’sに来て色々な人と本音で議論する中で、自分の考えるビジネス企画は、正直言って「偽善っぽいな」と感じるようになりました。

G’s ACADEMY Founder 児玉

なるほど。


永田さん

小学生の道徳の授業のような「いわゆるいいこと」。そういう価値感しか持ってなかった。私の両親とも小学校の先生なんですが、その影響もあるのかな。(笑) もちろん、そういう社会にしたいというのは本心でしたが、あまりにも漠然としていたためにビジネス的な永続性が見えてこなかった。

G’s ACADEMY Founder 児玉

うん、ビジネス企画はそれまでのビジネス経験も大きく影響するしね。。


永田さん

でも、起業しようと思ったこと自体は良かったと思ってます。起業しようとすると「自分のことがめちゃくちゃわかる」んですよね。

G’s ACADEMY Founder 児玉

自分が本気でやり続けたいもの以外、逆風が多すぎて進まないからね。


永田さん

とても貴重な体験だったと思います。向いてるかどうかも目指さないとわからないですしね。

tsumugのエンジニアとしてフルコミット

G’s ACADEMY Founder 児玉

そこからどんなご縁でtsumugに?


永田さん

私は卒業後は吉本さんと一緒に起業してやっていくつもりだったんですが、同時にまだまだエンジニアとして実力が足りないとも思っていた。そんなときにtsumugのエンジニア平間さん(※G’s のメンターでもある)に6か月間の期間限定でインターンでやってみない?とスカウトしてもらったんです。

G’s ACADEMY Founder 児玉

平間さんは永田さんのメンターだったっけ?


永田さん

いえ、私の在学中のメンターではないんですよ(笑) でも卒業制作に向けていろんな方に相談したりしていたので、G’s内で友人もたくさんできて、自分のメンター以外にも人脈が広がっていたんです。

G’s ACADEMY Founder 児玉

さすが人気もの(笑) じゃあ最初は6か月限定のつもりだったんだ。


永田さん

はい、6か月の試用期間を経て、その後認められて本採用になりました。起業パートナーの吉本さんとも、まずはお互いに実力をつけていずれまた一緒にやろう!と話し、今はtsumugにフルコミットしています。

G’s ACADEMY Founder 児玉

今はどんな業務を担当しているの?


永田さん

元々はフロントエンドエンジニアとして入りましたが、今はフロントエンド(Nuxt.js)に限らずサーバーサイド(Ruby on Rails)でも開発していたり、さらに開発チームがどうやったらもっと合理的に開発できるかということを考える「スクラムマスター」もやらせてもらっています。

G’s ACADEMY Founder 児玉

ずいぶん幅広く担当してるんだね。


永田さん

自分達で新しいものを作っていけることに大満足です。毎日リモート勤務で、仕事だけじゃなく人生を楽しんでいる感じあります。

G’s ACADEMY Founder 児玉

完全リモート勤務なんだ。


永田さん

tsumugは無人で空間を利用できるサービスを提供するスタートアップですが、これによって「世界の働き方を変えていきたい」というのがミッションの一つなんです。だから自分達もリモートですね。tsumugのプロダクトや働き方を通じて、役にたちたい・人を助けたいというのが単なるキレイごとではなく、こうやって実現していくんだ、という学びになっていますね。

福岡で自分らしい働き方を見つけるには?

G’s ACADEMY Founder 児玉

福岡で起業や転職することって、今はしやすくなっているのかな?


永田さん

思えば、最初の転職って本当に怖かったなあ。(笑) 九州や福岡では会社を変わるなんて行動、今でもなかなか出来ないよね、とは思いますね。

G’s ACADEMY Founder 児玉

転職に対する恐怖感は強いんですかね。


永田さん

そうですね。でも僕の場合は、最初のアパレル企業を辞めるとき、自分の正義に従う感覚だったんです。自分の正義に従って、全部振り切ってやった。その時の価値観や知識が未熟だったとしても、まずは自分を信じてやれることをやるしかないと思います。

G’s ACADEMY Founder 児玉

本当にそうですね。


永田さん

でも、その時その時に自分の想いとか価値観にちゃんと従い続けていればチャンスが生まれる。僕はそれを掴み続けて今に至っただけです。
起業したとしても結局「自分の本心をどう活かすか」が問われるわけで、覚悟をもって自分の価値観をぶつけてやることが大切で。それで初めて人生は変わるんじゃないかなとも思うんです。

G’s ACADEMY Founder 児玉

そうですね。これからもG’sに遊びにきてください。今日はありがとうございました!

福岡のスタートアップtsumugでエンジニアとして活躍する永田さんに話を伺った。アパレルからエンジニアになった、と聞くとどんな技術をやればいいの?という話になりがちだが、今回のインタビューでは永田さんの気持ちの変化にフォーカスしてお聞きした。

起業を目指すことで、自分のやりたいことが見つかり、自分のやるべきことが変わったという話は興味深かった。「その時の価値観や知識が未熟だったとしても、まずは自分を信じてやれることをやるしかない」という言葉は、これから福岡で起業や転職を挑戦する方々へのエールになると思う。

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