「ふつふつと茹でガエルのようになってしまう」そんな状況に立ち上がった加納さんの成長の軌跡
初めまして。ジーズアカデミーのスタッフになりました梅川です。ジーズアカデミーのことをより知るため、卒業生の成長の軌跡を探ろうと、インタビューを敢行しました!
今回は、加納文子さんにお話をお伺いしました。
DEV14期卒業生 加納 文子 さん
靴メーカーで10年勤務したのち、アパレルメーカー、小売店、卸売と、ファッション業界を遍歴し、キャリアを築く。その中で、業界を改革したいと思い立ち、2019年7月にジーズアカデミーTOKYO週末DEVコースに入学した。平日は仕事、週末は講義の半年間を走り切り、2020年1月に卒業。現在は、起業の準備を行っている。
アナログな世界で長年勤めていた、という加納さん。入学したときは、プログラミングは全くの未経験でした。仕事や子育てなど、多忙な中でも、なぜ走り抜くことができたのでしょうか。
加納さんが持った危機感と、それを超えるための成長の軌跡について、お伺いします。
ものづくりの川上から川下までを経験して感じた危機感
―――すでにアパレル業界でキャリアを築かれていらっしゃったかと思うのですが、起業へと進んだのには、どのようなきっかけがあったのでしょうか。
もともとは靴メーカーに10年いました。そこからアパレル、靴の小売店、卸売りと、ものづくりの川上から川下までを経験しました。そんな中で、本当に業界が、あと数年で立ち行かなくなっていくんじゃないか、という気持ちでいっぱいになったんです。
―――具体的にどのような状態だったから不安を覚えられたのでしょうか。
働き方が、3つくらい前の世代なんですよ。デザインの仕事をしていた時も、グラフィックとか手書きでした。仕様書も手で書いているくらいなので、全然進歩していないです。そこをオートメーションさせるよりも先に、すべてのシステムを刷新しなくちゃいけないくらい。
しかも、働いている人たちの顔が、暗いんですよ。取引先の方とお話する第一声が、「大変だよねえ、今」って、ネガティブなことから入るんですよ。ウハウハした顔の人は一人もいない。
これは、カンフル剤のようなことが起こらない限り、皆が不幸になってしまう。ふつふつと茹でガエルのようになってしまう。茹でられて、気づいたらみんな死亡、みたいになってしまう!と感じていました。
デジタルが一番のカンフル剤
―――なるほど。そうした危機感から立ち上がれたのですね。実際この状況を変えるために、加納さんはどんなことをしたいと思われていらっしゃるのですか。
例えば、「1to1でオリジナルの靴を作りますよ」といったビジネスではなくて、ゲームチェンジしないといけないくらい酷い状態なので、業界全体を変えるくらいインパクトのあるビジネスをしたいと考えています。
一番のカンフル剤は、デジタル化だと思ったので、それを用いて改革できたら良いなと思い、色々な試行錯誤をしました。
ジーズアカデミーでの卒業制作は、個人の足を計測してマッチした靴を提供するということをしたかったんですが、機械学習までのところまではいかず……。
誰も彼もすごい。
その中で知識を吸収していく
―――高度な技術にもチャレンジしようとされていらっしゃったのですね。ジーズアカデミーに入学されてみて、いかがでしたか。
入学時、今まで苦労して木の実を剝いて食べていた人が、いきなりウィダーインゼリーを食べたみたいにビックリしました。どんどん新しい知識を吸収していくんですよ。すごい刺激的だったし、「こんなことができるんだ!」と走馬灯のようなスピードで進んでいく環境だと感じました。
誰も彼もすごかったですよ。起業したところの多忙な方から、妊娠していらっしゃった方もいましたね。課題制作では、ARを作ってくるような技術力の高い方がいらっしゃったり、質問をしたら何でも返答してくださるので、アレクサをもじったあだ名で呼ばれていた方もいらっしゃっいました。
他の人の熱を自分の熱に変えて
オールナイトが自分の時間
―――仕事に加え、息子さんの子育ても並行しながら、学んでいらっしゃったとお聞きしたのですが、どうやって課題の時間を捻出していらっしゃったのですか。
私は、オールナイト(※)を活用して、21時から夜中の1時くらいまで、ここで作業をしていました。プライベートでは、家族にご飯を食べさせてから自分のことすると決めていたんです。当時、GGAの準備で、LAB生の方が朝までいてくださっていたので、いつでも来て作業しても良いという安心感がありました。
※オールナイト…閉館後21時~翌朝10時まで、ジーズアカデミーのラウンジを利用できる制度
本当に寝ていないのに、コツコツ手を動かしている人がいたりとかして、とてもタフでしたね。頑張っている人がいるから、自分も頑張り切れました。
例えば、独りでコツコツだったら、絶対午前3時まで作業するとか、頑張り切れなかったと思う。息子は家でスヤスヤ気持ちよさそうに寝ていますしね。
それに、ジーズアカデミーにいると、行き詰まったら、周りの人たちが教えてくれました。「あんなに人のために惜しみなく時間を差し出せる人たちが、いるんだ!」とビックリしました。「こういうコミュニティってあるんだ!」って。なんなんでしょうね。チームではないんですけど、連携感、仲間意識があったから、すごい居心地の良い空間でした。
私たちの時は、チーズアカデミーを作る時に皆で教え合って切磋琢磨していたので、そこで一気に距離が縮まって飲み会をしたりするようになりました。今だとオンラインの方もいらっしゃいますから、何らかの教え合えるプラットフォームは必要ですね。
時間がない!欠乏感が原動力
―――確かに、人が集まる環境が必要ですね。こうして過ごされた半年間は、加納さんにとって、どんな時間でしたか。
大変でしたよ。でも、すごい良かったです。時間を一時も無駄にしていない感じが。すごい濃密な時間でした。ビジネスのこととプログラミングで何を作るかと、課題のことと、頭がパンクしそうになるくらい考えることが山のようにありました。常に熱を持っているみたいにヒリヒリしていました。
ヒリヒリというのは、欠乏感ですね。私が、仕事も家庭も無くて、何でもしていいという状態だったら、もっとできたはずなのに、そこには絶対到達しないじゃないですか。物理的な時間が決まっているので。常になんか足りないできてないと思いながら、卒業したという感じでした。
こうした欠乏感が原動力であり、集中力につながっていましたね。
「絶対にできない」から「作れるじゃん」へ
―――入学を検討されている方、今頑張っているジーズ生の方にエールをお願いします!
超えたところでしか得られないものが、絶対在ります。最後、卒業したときの感動はほかには代えがたいですね。0から1を作るのが仕事だったにもかかわらず、それを超えてくるくらいのエネルギーがありました。
入社後と前で、それこそ中身が全部入れ替わったような感じがしています。アナログ人間がデジタル人間になった感じですね。それに、起業に向けてやるべきことが明確になってきました。このご時世でビジネスを立ち上げるのによいタイミングではないですが、皆が倒れていく前に、何とかしたいです。
あとは、「作れるじゃん」と思いました。以前は、自分じゃ絶対にできない、と思っていたんですけど、簡単なものなら自分で作ってしまえることに気づきました。
確かに週末コースの方は、仕事をしていらっしゃって常に時間とのせめぎ合いになると思いますが、最近だとオンラインもありますし、より時間を有効活用しやすくなっているんじゃないかなと感じます。頑張ってください。
最後に
まず、「自分が何とかしないと!」と立ち上がり、新しい挑戦に一歩踏み出した姿が、とてもかっこいいと感じました。私は、こうした行動する人たちのために働きたいと思ってスタッフになったため、お話を聴いてとてもワクワクしました。
オールナイトもそうですが、日々東京校にいると、よく受講生同士で教え合っている風景を見かけます。こうしたカルチャーが加納さんの持つエネルギーと合わさって、「自分じゃ絶対にできない」から「作れるじゃん」に変わったのだなと納得できました。
今、知識や技術があるかどうかではなく、「ここを改革したい」「どうしてもこのプロダクトを作り上げたい」そんなエネルギーさえあれば、人は変われる。皆さんもそんな想いがあれば、ぜひ挑戦してみてください。