投資型クラウドファンディングとは?スタートアップが成長する上での新たな選択肢について聞く
こんにちは、ジーズアカデミースタッフの藤井です!
スタートアップが成長していく中で、多くの起業家が考える資金調達の方法。
創業融資、VC、助成金、クラウドファンディングなど様々なものがあります。
今回はその中の一つ、投資型クラウドファンディングを行う株式会社日本クラウドキャピタルの岡さんに、新しい資金調達の選択肢「投資型クラウドファンディング」とはどんなものなのかお話を聞きました。
そして投資家目線でのジーズアカデミー発スタートアップの魅力についてもお聞きしました。
株式会社日本クラウドキャピタル
マネージャー/ベンチャーパートナー 岡 宗一郎さん
政府系金融機関ではスタートアップから中小零細企業まで4,000社以上の審査を担当。
創業専門部署に異動後、創業セミナーの企画・運営・登壇、大学・高校・専門学校で資金調達やビジネスプラン作成に関する講義を実施。 ビジコンの審査員も多数担当。
その後、アクセラレーターへ参画。大手企業や地方行政が主催するプログラムの企画・運営を担当し、スタートアップを支援。起業家育成プログラムの運営や投資も担当。現在は株式投資型クラウドファンディング「FUNDINNO」を運営している株式会社日本クラウドキャピタルでスタートアップの資金調達面のサポートを実施している。
株式投資型クラウドファンディングとは
藤井:
岡さん、本日はどうぞよろしくお願いいたします!
早速ですが、貴社の事業についてお伺いできますでしょうか。
岡さん:
日本クラウドキャピタルは「フェアに挑戦できる未来を創る」ことをビジョンに掲げて設立されました。
現在の金融というのは、事業がある程度先が見える状況になってきてからプロが投資をするような形が主です。
走り出してまだどちらに転ぶかわからない、一番お金が必要な状況ですと、プロでもリスクマネーを投入する判断が難しく、なかなか投資される金額が大きくなりません。
最近はインターネットが発達したので、プロだけでなく一般の投資家も投資を活発に行うようになりました。
なので、一般の投資家からそこにリスクマネーを投入することができるのではないか、ということで、誰もが挑戦できる未来を創るために「FUNDINNO」と「FUNDOOR」いう2つの事業を運営しております。
藤井:
FUNDINNOでは株式投資型クラウドファンディングを行っているとのことですが、これは他の投資とどのように違うのでしょうか?
岡さん:
投資の種類には購入型、株式型、寄付型、融資型など様々ありますが、私たちは株式型を取り扱っています。
株式型とは、非上場の企業さんからウェブサイトを通じて非上場企業の株式や新株予約権の募集を行い、多くの人から少しずつの資金を集める仕組みです。
購入型ですと誰でも購入できますが、株式型は誰でも購入できるわけではなく、弊社に投資家登録をいただき審査を通過していただく必要があります。
また株式型には金商法により2つの要件があります。それが少額要件と電子募集です。
少額要件は発行者側の1年間の募集上限金額、投資家の年間投資上限金額を定めるものです。
電子募集は、インターネットや電子メールを介してのみ募集ができるというものです。
通常、証券会社ですと対面や電話の勧誘が行われますが、株式投資型クラウドファンディングではインターネット上や電子メールに限定されます。
それを見て投資家さんが判断をする形です。
株式投資型クラウドファンディングの国内調達割合では弊社が現在約81%を占めています。
また、「FUNDINNO」は日本初の株式投資型クラウドファンディングです。
藤井:
日本で初めてなのですね!
他に特徴的なことを教えていただけますでしょうか。
岡さん:
特に挙げられるのは投資の目的です。
通常の投資ですとやはり高い投資リターンを求める方が多いです。
弊社の場合、企業の成長を応援したいという投資家の方の割合が高いです。
成長を楽しみたい、サポートをしたいというお考えの方ですね。
我々はそういった投資家の方をファン株主と呼んでいます。
ファン株主の方を得ることで、株主から商品を購入してもらえる、SNSで会社情報を発信してもらえるなど、長期的な視野で応援してくれる存在となります。
投資家さんの紹介や広報支援、イベント招待や事業成長サポートの仕組みを通して、スタートアップの挑戦を応援しております。
藤井:
これまで想像していた投資の形とだいぶ異なりました。
クラウドファンディング型の名前の通り、事業を成長させていくファンを募るような形なんですね。
岡さん:
また「FUNDINNO」の特徴としては、速い・フェア・安全があります。
投資家の方にきちんと魅力が伝わるよう、事業内容をこちらで言語化する、専門家チームのサポートなどを持って進めていきます。
また、インターネットを介して数万人の投資家へのPRができることが弊社の魅力です。
現在(2021年10月7日時点)78,782名の投資家さんがユーザー登録をされており、その方たちへのマーケティングはもちろんですが、それ以外にも露出を色々と行っていきます。
すべてインターネット上で行いますので、上手くいくと全国のファン投資家の獲得ができます。特に地方のスタートアップにとっては、その地域以外の広い範囲にアプローチができます。
ジーズアカデミー卒業生起業家の魅力
藤井:
続いてはジーズアカデミーについてお伺いしたいです。
ジーズアカデミーの卒業制作発表デモデー、GGA(Global Geek Audition)に沢山足を運んでいただいている投資家として見た、ジーズアカデミー卒業生起業家の魅力とは何でしょうか?
岡さん:
自治体発のものなど起業家を育てようというプログラムは色々とありますが、やはり卒業時点に出来上がっているものが大きく異なると思います。
ジーズアカデミーの卒業制作プロダクトデモデー(Global Geek Audition)にはある程度完成されたプロダクトをお持ちの方が出られますよね。
藤井:
そうですね、ジーズアカデミーはプロダクトのDeploy(プロダクトを使える状態にすること)を卒業要件にしています。
岡さん:
普通に起業をしようと思ったら、メンバーと少ないお金をまず集め、そこから少しずつプロダクトを作っていきます。
ジーズアカデミーの場合はデモデーに向けてきっちり作り上げるので、それが100点でなかったとしても優位性は大いにあると思います。
卒業したら、プロダクトが既にあるのでやるときはすぐにでも始めることができます。
そこが大きな違いだと思います。
また、ジーズアカデミーでは在学中にメンターや同期の方、卒業生の方と出会う機会があります。
仲間がいる、相談できる人がいるということはものすごく強いです。
藤井:
そうですね、実際に同期の方と一緒に起業するという方もいらっしゃいます。
岡さん:
そのような繋がりは貴重ですね、頼れる人がいないという方もたくさんいらっしゃいますので。
あとは資金と事業を推進する人が必要になります。
製品がどこに刺さるかを冷静に理解し、事業がどこに求められているかを分析できるメンバーがいれば一気に加速すると思います。
資金を得る際には様々な方法がありますが、我々のようなファン・共感する人を増やす方法をとるのも一つの手だと思います。
藤井:
なるほど、縦横の繋がり・コミュニティを大切にするジーズアカデミーならではですね。
ジーズ発ベンチャーと、その他のベンチャーには何か違いなどありますか?
岡さん:
ジーズアカデミー発のベンチャーは起業前の段階でも、きちんと動いて目的に向かって作りこんできたなと分かることが強いです。
初めてデモデーに伺ったとき、感動しました。プログラミング初心者からこんなものが創れるようになるのかと。
ピッチをするとき、絵だけで示したりパワーポイントの文章で表現する方も多いですが、ジーズアカデミーのデモデーでは多くの方がプロダクトのデモ動画を流されますよね。
これはすごく投資家に刺さります。きちんと動くものを、目的に向かって作りこんでいるなと感じます。
仮に途中で事業が失敗したとしても、ゼロから自分で立ち上げて進んだ経験は誰もができることではありません。
ジーズ発スタートアップに期待すること
藤井:
嬉しいお言葉ありがとうございます!
最後に、ジーズ発のスタートアップに期待するのはどのようなことでしょうか?
岡さん:
プロダクトがある程度できた後は、迷わずどんどん進んでいただきたいです。
どのように進めていくのかを考えつつ、頼れる人はたくさん頼ってください。
また、スタートアップは計画を立てなくてもいいという方もいますが、ある程度ご自身の成長の計画を立てていくことをオススメします。
そして勿論計画は立てるだけでなく、うまくいかなければ理由を分析しながら進めていってください。
あわせて、もし投資を受けたのならば投資家や金融機関を大切にして欲しいと思います。
藤井:
なるほど、それはなぜでしょう?
岡さん:
信頼関係ができますし、彼らにしっかり事業収入の仕方を報告してあげると、次の資金調達に繋がりやすくもなります。
ですので、これはやったほうがいいです。
あとは、分からないことがたくさん出てくると思うのですが、わからないことをわからないで済ませるのではなく、調べたり人を頼ったりして解決していきましょう。
ジーズ卒業生起業家で弊社「FUNDINNO」を使ってIPOやM&Aをした案件はないので、だからこそ実現すれば目立つチャンスだと思います。
そういったことも期待していますね。
様々な資金調達方法がありますが、目的に合ったものを選ぶことが大切です。
株式投資型クラウドファンディングはとはいえまだ件数が少ないですが、食わず嫌いせず貪欲に知っていっていただければと思います。
起業は本当に大変なことだと思います。
色々な人に聞き、頼れる味方を作りつつ進んでいってください!
資金調達の新しい選択肢、株式投資型クラウドファンディング。
挑戦するスタートアップにとって、強力なファンを初期から得られることは大きな強みだと感じました。
またインタビュー内で岡さんからも触れていただいたように、ジーズアカデミーでは卒業制作プロダクトのデモデーが開催されます。
投資家、企業の採用担当の方も多く観覧される一大イベントへの登壇を目指し、仲間と共に切磋琢磨していきます。