『シェフレピ』を通して日常に色を添え続けたい。それが一人ひとりの生きる実感となって、喜びとして積み重なるはずだから | 卒業生・起業家 山本 篤さんインタビュー
「ミールキット」という食材セットをご存知ですか?レシピに対して必要な分量の新鮮な野菜や肉等がセットで自宅に届けられるため、献立を考えたり食材を買いに行ったりする手間が省けるwithコロナ時代の食事時間を支えてくれる人気アイテムです。
そんなミールキットの「手軽さ」とシェフのレシピという「クオリティ」を組み合わせてお家で楽しめるという新サービス『シェフレピ』。レシピは動画で確認することもでき、プロの料理テクニックを細部まで学びながら楽しめるのが大きな特徴です。今回はジーズアカデミー卒業生でシェフレピの正式サービスリリースを控える起業家・山本 篤さんのストーリーへフォーカス。シェフレピに込められた想いを聞かせていただきました。

ニュージーランドでの気づき、そして料理の世界へ
大阪で生まれ育った山本さんは、英語を勉強しようと高校在学中にニュージーランドへ。そこで現地に暮らす6歳の女の子に出会い、料理の道へと進む気づきを与えられたようです。

山本さん
英語を勉強しようとニュージーランドへ旅立ちましたが、そこでドイツ語・英語・日本語を自然に使い分ける6歳の女の子と出会ったんです。ドイツ人と日本人のハーフでした。その子が無邪気に複数の言語を話す姿を見て「あぁ僕はもう、言語ではこの子に叶わないな」と思ったんです。だったら僕も、もっと自然に自分の中から湧き出てくる気持ちや、何気なく行っていることを自分の強みにして生きていきたいと考えるようになりました。
そこで思い浮かんだのが「料理」でした。高校二年生から親元を離れて暮らしていたのもあって、料理は僕にとって自然なものだったんですよね。遊びに来た友人に料理を振る舞うことや、アルバイトをしていた飲食店でのまかない作りが好きだったことを思い出して。料理だったら自分自身が自然に続けていけるんじゃないかと直感的に感じて、高校卒業後は調理の専門学校に進学しました。
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順調な日々へ訪れた突然の転機。まっさらになってオーストラリアへ
ニュージーランドでの出会いから料理の世界へと踏み込んだ山本さん。その後は念願のシェフとなり日々仕事に没頭していきます。無我夢中で料理人としての頂点を目指して過ごす2年目のある日、人生の大きな転機が訪れます。
山本さん
その頃、フレンチレストランで働いていたんですがある日お店に電話があって。後輩の一人が亡くなったと。驚きました。でも、そこでハッと気がついたんです。
確かに仕事はハードワークでした。僕も新人のときはオーナーシェフにずいぶん厳しく指導してもらっていたけれど、それが料理人として一流になるために必要なことだと信じていたんです。でも、信じるがゆえに視野が狭くなってしまっていました。周りのメンバーにとってはどう映っていたんだろうか、僕以外の人はどう感じていたのだろうか……そこまで気を回すことができていませんでした。
「人が生きる」ということが当たり前にできなくなってしまう環境はおかしい。でも、どうしたらいいのかわからない。その葛藤の中で、一度まっさらになってこれからを考えようと思い、料理人の待遇が良いと聞いていたオーストラリアへ旅立ちました。
オーストラリアに渡ったはいいものの、身一つで飛び込んでしまったので、はじめはどうしようかと路頭に迷いました(笑)。でも、現状を変えたくて来たのだからとにかく行動しなければと、マネジメントに携われる日本食レストランで働きはじめました。
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迷ったり、止まったりしそうになったらとにかく次の環境へ飛び込んでみる——そんな山本さんの行動力があらたな気づきへとつながっていきます。
山本さん
働きながら「料理人」と「マネジメント」という両方の立場を経験するうちに、客観的に「食」というものを見られるようになったのは僕にとっての財産になりましたね。特に大きかったのは、オーストラリアの人たちは「美味しいものを美味しいうちに楽しく食べる」という喜びを知っているなと気づけたことでしょうか。
温かい料理が出てきたら、会話が続いていても美味しいうちに楽しみながら食べる——当たり前のように感じることではありますが、そんな食事の時間を自然に楽しんでいる姿を見て、なんだか感動したんですよね。この人たちは料理の楽しみ方を知っているなと。そんな食に対して意識が高い文化の中に身を置くようになって、日本でも食に対しての価値がもっと上がれば、巡り巡って料理人の働く環境が向上するのではと感じたんです。
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現状からより良い世界を求めて飛び立ち行動し続ける山本さんのお話からは「頭で考えすぎず、心と体で感じることを大切に行動し続ければ未来は必ず開ける」——そんなメッセージも感じます。
新たな視点を入れるためジーズアカデミーへ入学。「結局、プログラミングは楽しかった」
山本さん
オーストラリアから帰国して、日本での食への価値を上げるため、また新たな視点を入れたいなと思い、プログラミングを学びにジーズアカデミーへ入学しました。この時も何か根拠があったわけではなくて、とにかくこれからはITかなという直感だけだったんですけれど(笑)。

でも結局、プログラミングは楽しかったです。料理もプログラミングもゴールから逆算して作っていくというプロセスがとても似ていて。例えば、こういう料理が作りたいなと思ったら、その材料を用意して、必要な手順で調理して……プログラミングも同じですよね。作りたいプロダクトがあって、それに必要なものを用意していく。そういう意味ではとっつきやすかったですね。
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ジーズアカデミーでの日々を経て日本での食の価値をあげたいという一心で、食とITという重なりを模索し続けてきた山本さん。途中チームの解散や事業のピボットを経て、今のシェフレピに辿り着きました。
誰かの “生きている” という実感を積み重ねたい。自分にできることは行動し続けることだけ
山本さん
とにかく僕の中にある切実な思いは、料理人の働く環境を向上させるということももちろんそうなんですが、誰かの “生きている” という実感を積み重ねたいんです。誰かの “生きたい” を支えたい。そんな想いがずっと心にあったように思います。それに向けて自分ができることは行動し続けることだけ。だからいろんなところに飛び込み続けてきました。
『シェフレピ』はミールキットですけれど、ある意味で「非合理的」なんです。確かにレシピを探して材料を買いに行って帰ってきてから調理して……という、一からの料理に比べれば取り組みやすいかもしれません。ですが、手軽に済ますこともできる食事をあえてシェフのレシピで、いつもの食卓では並ばないものを一手間加えて作るんです。レシピによっては、触ったことのない食材なんかもあるかもしれない。

でも、非合理だからこその喜び——今、料理をしているという学びや実感——があるとも思っているんですよね。僕は、そんな普段とは違う色を日常に添え続けたい。それが一人ひとりの生きる実感となって、喜びとして積み重なるはずだと信じています。
そして最終的には、個々人が料理作りを通して感じた喜びによって日本の食に対する意識が向上し、料理現場の働く環境ももっともっと良くなっていく——そんなより良い循環が生まれる未来へ思いを馳せつつ、サービスリリースまでラストスパートをきりました。気を引き締めて、これからも行動し続けます!

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